韓国の浦項工科大学校(POSTECH)は1月14日、メタサーフェスを用いた光学可変素子(metasurface-driven optically variable devices:mOVD)についてまとめた同大学の研究チームの論文が、ナノ技術分野のトップジャーナル Chemical Reviews の表紙論文として掲載されたと発表した。この技術は、巧妙化する偽造への新たな対抗策となる可能性がある。
ロ・ジュンスク(Rho Junsuk)教授らが率いる研究チームは、偽造防止技術として用いられるさまざまな光学可変素子(optically variable device:OVD)について、情報容量(information capacity)とセキュリティレベル(security level)に基づき要約した。
動かすと色が変わるインクや紫外線の照射により発光する蛍光インク等、これまでにもさまざまな技術が開発されてきたが、複雑な情報を暗号化できないことが普及の障壁となっている。
(いずれも提供:POSTECH)
そこでロ教授らは、非常に薄型で、光を制御できる特徴を持つ新材料のメタサーフェスに着目した。メタサーフェスを用いた光学素子は、従来のホログラムステッカーの100倍の量の情報を保存し、角度、色、偏光(polarization)に応じて異なる画像を表示できる。暗号化された情報は正しい光学的複合化手法を用いなければ複合化できず、誰でも見られる画像と、解析に専門的な設備や知識を要する画像を分けて保存することもできる。
ロ教授は「メタサーフェスを用いたセキュリティラベルは複製が難しく、特別な手法を用いなければ複合化できないため安全性が非常に高い」と解説。そのうえで「本研究は韓国の研究チームが主導するメタサーフェスを用いたセキュリティ素子の基本原理と用途を体系的にまとめた点で意義がある」と語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部