韓国科学技術院(KAIST)は1月21日、同大学の研究者が率いる共同研究チームが、近赤外レーザーを用いたライトフィールドカメラ(light-field camera)技術と人工知能(AI)技術を組み合わせて、顔の表情を高精度で検知する方法を開発したと発表した。研究の成果は学術誌 Advanced Intelligent Systems に2021年12月16日付で掲載された。
(提供:KAIST)
画像センサーの前に多数のマイクロレンズを配置したライトフィールドカメラは、スマートフォンサイズまで小型化でき、三次元(3D)画像の再構成や撮影後の焦点変更(refocusing)が可能であるため、さまざまな用途に利用できるとして期待されている。
しかし、既存のライトフィールドカメラでは、環境中の外部光源による影とマイクロレンズの間の光学的クロストーク(optical crosstalk)が、正確なコントラストの実現や3次元画像の再構成を妨げていた。
そこでジョン・キフン(Jeong Ki-Hun)教授が率いる研究チームは、近赤外領域の垂直共振器型面発光レーザー(vertical-cavity surface-emitting laser: VCSEL)を使用して、これまで環境光に頼っていた3次元再構成の精度を安定させることを試みた。
チームはこの技術を用いて開発したライトフィールドカメラにより、周囲の環境の光条件にかかわらず、さまざまな感情を表す表情の高品質な3次元再構成画像を取得することに成功した。取得した3次元画像の表情は、機械学習により平均85%の正確度で識別された。これは、2次元画像を使用した時と比較して統計的に有意な数値となる。
ジョン教授は「モバイル医療や現場での診断(field diagnosis)、社会的認知、人間と機械のやり取りなど、さまざまな分野に利用できる可能性がある」と、この研究の意義を語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部