2022年03月
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2°Cの気温上昇で夏が3週間長くなると予測 韓国POSTECH

韓国の浦項工科大学校(POSTECH)は2月11日、同校の研究チームが、地球温暖化が夏の長さに及ぼす影響を初めて数値化したと発表した。この研究の成果は学術誌 Environmental Research Letters に掲載された。

ミン・スンギ(Min Seung-Ki)教授らが率いる研究チームは、複数の全球気候モデルを用いたシミュレーションにより、地球温暖化によって世界の気温が1.5°C、または2°C上昇した場合の夏の長さをそれぞれ調べた。

パリ協定では産業革命以前と比較した気温上昇を2°C未満に、可能ならば1.5°C以内に抑えることを目標としている。この0.5°Cの差は一見わずかだが、海面上昇や水不足に及ぼしうる結果は大きく異なる。

気温上昇幅によって異なる季節のサイクルの変化も、各国の農業や水資源、エネルギー等さまざまな側面に大きな影響を及ぼす可能性がある。しかし地域ごとの夏の長さへの影響に関する体系的な予測はこれまで不足していた。

(提供:POSTECH)

研究チームが北半球の複数の地域で地球温暖化の条件に応じた夏の長さを分析した。その結果、東アジア、地中海、米国等の中緯度地域では、気温が2°C上昇した場合、夏の長さが現在の91日間(各地域の1年で最も温かい3カ月)から20~21日延びて111~112日間になる可能性があると分かった。一方、気温上昇を1.5°Cに抑えられた場合は延びる日数が12~13日になる。

さらに、この夏が延びた期間に生じる「夏のように暑い日(現在の気候での夏の平均気温を超える日)」の日数は、気温上昇が2°Cの場合には現在の3倍の6日間、1.5°Cの場合は4日間に増えることが判明した。

ミン教授は「夏が延び続けることによる公衆衛生、エネルギー、農業部門への影響を評価し、適応策を準備することが喫緊の課題だ」と語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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