韓国の高麗大学校(Korea University)は2月25日、同校の科学者が、高分子発泡体polymeric foam)の廃棄物と太陽光エネルギーをさまざまな用途に活用するための、簡単でコスト効果の高いアップサイクル手法を開発したと発表した。この研究に関する論文は学術誌Smallに掲載されている。
高分子発泡体を含むプラスチック廃棄物を燃料に転換する技術は、ごみの削減とエネルギー生産という2つの目標を達成できる手段として研究されている。しかし、熱分解(pyrolysis)等の従来の手法は、多くのエネルギーを消費し、高度な技術を必要とする。
同校のオク・ヨンシク(Ok Yong Sik)教授らと中国の東南大学(Southeast University)の研究者による国際共同研究チームは、高分子発泡体から太陽光を用いた環境発電素子(solar energy harvester)を簡単に作り出す、革新的な手法を開発した。この手法は、高分子発泡体の多孔質かつ機械的弾力性の高い(mechanically resilient)構造を利用し、太陽光から得た熱エネルギーと組み合わせて発電に利用するというものである。
研究チームは、高分子発泡体としては包装材や掃除用研磨材としてよく使用されている「ポリメラミンホルムアルデヒド(polymelamine formaldehyde)」を用い、ピロール溶液に浸して表面をコーティングすることで、太陽光スペクトルでの吸収特性を向上させた。作成されたスポンジのような新材料は非常に軽量、安価で、耐久性にも優れている。
この「ピロールコーティングメラミンフォーム(pyrrole-coated melamine foam)」は水質浄化、エタノールの蒸留、油漏れ処理等、さまざまな用途に活用できることが示されている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部