韓国の浦項工科大学校(POSTECH)は2月17日、同校と蔚山科学技術大学校(UNIST)の研究者による共同研究チームが、人間の皮膚と同様に触感を知覚できる「電子皮膚(electronic skin)」を開発したと発表した。この研究の成果は学術誌 Science Robotics に掲載されている。
センサーに配置された大量のピクセルから発信される電気信号を順次測定する従来の電子皮膚は、測定に時間がかかり、刺激に即座に反応する高い空間分解能を備えた電子皮膚の実現を困難にしていた。
今回、研究者らは皮膚の触覚受容器が外的刺激に反応して「スパイク信号(spike signal)」を生成する仕組みにヒントを得て、スパイク信号を生成できる人工の触覚受容器と、全信号を同時に送信し、リアルタイムの解析を可能にする電子皮膚を作成した。
(提供:POSTECH)
この電子皮膚は、人工のスパイク信号に位置情報を含める特徴付けを行う独自の機能を備え、位置や動きの追跡(motion trace)、速度や動的な接触域といった時間的情報を分析できる。また、1対の測定用電極のみを用いて信号を送信するため、従来の電子皮膚よりも単純な構造となっている。
この技術を実際のロボットに適用することで、研究チームは、人工皮膚が人間と同じように外的刺激に反応することを確認した。
論文の共同責任著者を務めたPOSTECHのジョン・ウニョン(Jeong Unyong)教授は「この電子皮膚を、皮膚に損傷を負った人の触覚の復元や、人間と感情的なつながりを持つことができるロボットの開発に応用できると期待している」 と語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部