韓国の浦項工科大学校(POSTECH)とソウル大学校(Seoul National University)、西江大学校(Sogang University)の共同研究チームが、原子間力顕微鏡(atomic force microscopy:AFM)を用いてナノスケールの固体材料のフレクソ電気(flexoelectricity)を制御する方法を開発し、この方法に関する初めての包括的なガイドラインを発表した。1月25日付。この研究の成果は学術誌 Applied Physics Reviews に掲載された。
ひずみ勾配により発生する分極現象であるフレクソ電気は、現在スマートフォンで用いられている圧電を代替し得る技術として注目されている。
(提供:POSTECH)
ここ10年ほどの研究により、材料をナノメートルサイズまで小さくするとフレクソ電気が増大することが分かっている。その強力な方法の1つが材料の表面にAFMの探針を押しつけることであるが、この方法に関する包括的なガイドラインはこれまで作成されておらず、押しつけ中に生じる複雑な微視的効果も解明されていなかった。
研究チームは、AFMを用いてフレクソ電気を制御する方法を開発すると同時に、フレクソ電気に加えて生じる微視的現象と、フレクソ電気を他の現象と識別する方法を幅広く提示した。フレクソ電気を生じるナノスケール材料は、従来の圧電材料を代替するだけでなく、ナノスケールのユニットの発電機やアクチュエーターとして使用できる可能性がある。
研究を率いたイ・デス(Daesu Lee)教授は「ここ10年間のナノスケール材料のフレクソ電気に関する多くの研究で、AFM技術は重要な基礎となっている。今回の研究の成果が、関連分野の継続的な発展に役立つことを期待している」と語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部