韓国の浦項工科大学校(POSTECH)の研究チームが、2つの超音波検査法を組み合わせた乳がんの新しい診断ツールを開発した。
POSTECHのキム・チュルホン(Kim Chulhong)教授とミスラ・サンパ(Misra Sampa)氏は、乳がんの分類で広く用いられている超音波画像であるグレースケールBモードと、ひずみエラストグラフィ(strain elastography:SE)を組み合わせ、2つの強みを最大限に生かすためのディープラーニングモデルを開発した。
(提供:POSTECH)
この研究では、良性腫瘍を有する42人と悪性腫瘍を有する43人から成る85人の乳がん患者を対象に試験を行った。67人から取得したグレースケール画像とSE画像の組み合わせを用いて個別に訓練した2つのディープニューラルネットワークモデル(AlexNetとResNet)をアンサンブルとして構成し、残りの患者の画像でテストした。
実験の結果、このアンサンブルモデルは90%の正確度を示し、個別のモデルの正確度(それぞれ84%)と、グレースケール画像のみ、またはSE画像のみを使用して訓練したモデルの正確度(それぞ77%と85%)を上回った。個別のモデルは5人の患者を誤分類したが、アンサンブルモデルが誤分類した患者は2人のみであった。
キム教授は「このディープラーニングモデルは超音波画像を用いて乳がんを正確に分類できるので、優れた検出効率を達成できる可能性がある」 と述べた。
1月18日付発表。この研究の成果は学術誌 IEEE Transactions on Ultrasonics, Ferroelectrics, and Frequency Control に掲載され、表紙論文にも採用された。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部