2022年05月
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イガイが水中で岩に付着し続けられる仕組みを解明 韓国POSTECH

韓国の浦項工科大学校(POSTECH)のチャ・ヒュンジュン(Cha Hyung Joon)教授率いる研究チームが、イガイ(二枚貝の一種)の接着タンパク質(mussel adhesive protein:MAP)が水中で接着力を維持できる仕組みを解明し、これを再現することに成功した。3月31日付発表。この研究の成果は学術誌 Langmuir に掲載された。

イガイが、岩に貼りつくときに用いるMAPは、生物由来の接着剤として生体材料や薬物送達システムへの応用が研究されているが、その酸化しやすさにより、水中での接着力の強さを再現することが困難であった。

MAPの主要な構成物質であるDopaは酸化しやすく、この酸化により表面接着力が低下する。チームはイガイの表面タンパク質のうち、システインを多く含むタンパク質が酸化還元に関与していることに着目した。Dopaが酸化して接着力の弱いDopaキノンに変化した際に、システインを含むタンパク質を加えると、DopaキノンがDopaと同様の強い接着力を持つ互変異性体△Dopaに変化した。

(提供:POSTECH)

この研究の成果を応用することで、Dopaを用いた強力な水中接着剤を開発できる可能性がある。

チャ教授は「システインを多く含む表面タンパク質はこれまでDopaの酸化を阻止することが知られていたが、今回、このタンパク質が、水中での接着力の維持に関わる△Dopaへの変化も促すことを初めて確認した」と語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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