韓国科学技術院(KAIST)は4月25日、不揮発性メモリのみを主記憶装置として用いた、停電等の電源障害に強いハードウェア・ソフトウェア技術を開発したと発表した。チームは6月に米ニューヨークで開催される2022年度の「国際コンピュータアーキテクチャシンポジウム(ISCA)2022」でこの研究成果を報告する。
ジュン・ミョンス(Jung Myoungsoo)教授は、「システムボードの試作品に不揮発性メモリを設置し、オペレーティングシステムを作成して、このLightweight Persistence Centric System(LightPC)の効果を検証した 」と説明する。チームは電源の投入と切断を切り替えながらLightPCの実行を検証し、従来のシステムと比較して9倍のメモリ容量、4.3倍のアプリケーション実行速度、73%低い電力消費を達成できることを示した。
システムのプロトタイプ(左)と実装された場面(右) (提供:KAIST)
ジュン教授は、LightPCについてデータセンターやハイパフォーマンスコンピューティング等のさまざまな領域で、メモリ容量や性能、電力消費、サービス信頼性の向上に活用できる可能性があると語った。
不揮発性メモリはDRAM等の揮発性メモリと異なり電源供給がなくなってもデータを保持できるが、書き込み速度が劣るため、通常は補助記憶装置として使用されている。一方、不揮発性メモリを主記憶装置に用いる最新式のシステムでは、複雑なマイクロアーキテクチャによってパフォーマンスの低下が生じる問題があった。
チームは今回、不揮発性メモリのみで構成される記憶装置の性能を改善するプロセッサとメモリコントローラに加え、プロセスの実行状態をすばやく永続化できるオペレーティングシステム技術を開発した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部