2022年06月
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脳の神経調節を模したAI学習用システム開発...エネルギー効率高く 韓国KAIST

韓国科学技術院(KAIST)は5月18日、同大学のキム・キュンミン(Kim Kyung Min)教授が率いる研究チームが、脳の神経調節の仕組みを模し、人工知能(AI)の数理演算を効率的に処理する技術を開発したと発表した。研究成果は学術誌 Advanced Functional Materials に掲載された。

人間の脳は神経の接続形態をリアルタイムで変化させ、必要に応じて記憶を保存したり呼び起こしたりしている。今回開発された技術は、こうした神経の協調的な回路構成を取り入れたものとなる。

脳の研究モデル (提供:KAIST)

AIを用いる電子機器は大量の電力を消費し、高度に集積化されたメモリアレイを必要とする。この電力消費や集積性に関する限界を克服することは困難であり、人間の脳でどのようにこうした問題を処理しているのかが研究されていた。

研究チームは、自己整流を行う(self-rectifying)シナプスアレイとアルゴリズムによるAI学習システム「stashing(訓練したシナプスを一時的に隠す)システム」を開発した。このシステムをニューラルネットワークハードウェアに組み込んで効率性を検証した結果、正確性を損なうことなくエネルギー消費を37%削減できた。

このシステムは既存の電子機器や半導体ハードウェア上で動作し、次世代のAI用半導体チップの設計に利用できると期待されている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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