韓国の高麗大学校(Korea University)のユ・スンホ(Yu Seung-ho)教授が率いる研究チームが、リチウム金属を均一に成長させる次世代型電解液を開発し、リチウム金属電極の商用化につながる成果を達成した。7月6日付け発表。この研究の成果は学術誌 ACS Energy Letters に発表された。
リチウム金属は従来のリチウムイオン電池の材料よりも理論容量が大きく、高性能二次電池用の負極材料として有望視されている。しかし、充放電反応を繰り返すことで形成される樹枝状の構造(dendrite structure)により、発火等の安全性の問題が引き起こされる可能性がある。
今回の研究では、従来のリチウム二次電池で広く用いられているカーボネート系材料とエーテル系材料を最適な割合で混合することにより、新たな電解液を開発した。ユ教授らがオペランドイメージングによってこの電解液に依存するリチウム金属の成長を直接観察したところ、集電体の表面粗さにかかわらず、特定の電解液条件の下でリチウムが均一に成長することが分かった。これを用いることで、三次元構造の集電体の広い表面積を最大限に活用できる可能性がある。
ユ教授は、「次世代の電解液を用いて樹枝状成長を効果的に抑制することができた。この電解液は優れた電気化学的特性とSEI特性により、リチウム金属電極の商用化に大きく貢献すると期待している」と語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部