韓国科学技術院(KAIST)は8月11日、同院のイ・サンユプ(Lee Sang Yup)特別教授が率いる研究チームが、微生物を用いて合成できる化学物質の包括的なマップを作成し、Web上で配布したと発表した。このマップに関する論文は、応用生物科学分野のレビュー誌 Trends in Biotechnology に8月10日付けで掲載された。
気候変動や環境汚染への対策として、微生物を用いた石油化学製品の生産に関する研究が注目を集めている。微生物を用いて材料や燃料を合成するには、まず目的の生成物を得るための生合成経路を探索して構築する必要がある。また、さまざまな化学物質を効率よく合成するには、生物工学的手法と化学的手法を同時に駆使することも必要になる。
同チームは2019年に、入手可能な全ての生物学的・化学的反応の経路を集めたポスター形式のマップを作成し、業界関係者や研究者に配布していた。
今回、チームはこのマップを拡大し、インターネットが使えれば、だれでも利用できるWebベースのインタラクティブ(双方向型)マップを作成した。マップには目的の生成物を得るための生物・化学反応の複雑なネットワークを視覚化、探索、分析するためのインタラクティブなツールが含まれている。
イ教授は「このインタラクティブなバイオベース化学物質のマップは、化学変換手法と組み合わせた生合成のための代謝経路の設計・最適化を支援し、目的の化学物質の生成に関するさらなるアイデアを創出するための青写真となる」と語った。
このマップは http://systemsbiotech.co.kr で公開されている。
インタラクティブなバイオベース化学物質のマップ
(提供:KAIST)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部