韓国科学技術院(KAIST)は、同院の研究チームが、オランダ、フランス、スウェーデンの研究者らと共同で、治療法が確立されていない難病であるハンチントン病の新たな治療戦略を確立したと発表した。9月2日付け。研究成果は学術誌 Journal of Clinical Investigation (JCI) Insight のオンライン版に8月9日付けで掲載された。
ハンチントン病は優性遺伝性の神経変性疾患であり、「ハンチンチン」というタンパク質の変異によって引き起こされる。ハンチンチンは脳の発達や正常な機能の維持に必要なタンパク質であるため、治療法の開発にあたっては、疾患を引き起こすタンパク質を取り除きつつ、正常に機能しているタンパク質を保持することが重要になる。
(提供:KAIST)
研究チームは、アンチセンスオリゴヌクレオチド(AON)を導入した「ハンチンチンΔ12」が、変異ハンチンチンにより生じるハンチンチン末端の切断(cleavage)の形成に抵抗性を示し、ハンチントン病の症状を軽減する一方で、正常なハンチンチンの機能も維持することを示した。
この研究は、ハンチンチンの重要な機能を変化させることなくハンチントン病を治療するための革新的な戦略の開発につながると期待される。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部