2022年10月
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ワイヤレス充電中の双方向データ転送を可能にする技術開発―医療機器・NFC・IoTで利用へ 韓国

韓国の漢陽大学校(Hanyang University)医用生体工学部のイ・ビョンホン(Lee Byung-hun)教授の研究チームが、ワイヤレス充電中の双方向データ転送を可能にし、データ転送の速度を大幅に向上させる技術を開発した。8月18日付け発表。

この技術は体内に挿入される医療機器やNFC(近距離無線通信)カード、モバイル・IoT(モノのインターネット)デバイスで利用できる可能性があるとして、業界から注目を集めている。この研究の成果は電気・電子分野の権威ある学術誌 IEEE Transactions on Industrial Electronics の2022年11月号に掲載される予定。

交通系カード等のモバイルデバイスで利用されている従来のデータ転送技術は、ワイヤレス充電中の同時かつ双方向のデータ転送に対応していない。一方からのデータ転送が完了するまでもう一方からのデータを送信できないため、時間がかかり、送信データを保存するための追加のプロトコルが必要となる。

こうした問題を解決するため、イ教授のチームは、同時・双方向にデータを転送する複数共鳴(multiple resonance)式のワイヤレス充電コイルを開発し、周波数偏移変調(frequency shift modulation)と負荷変調(load modulation)によりデータ転送に要する時間と電力を大幅に低下させることに成功した。

イ教授は、「従来のワイヤレス充電コイルの設計を刷新し、ハードウェアを追加することなくワイヤレス充電中に双方向データ通信を行えるようにした。これは世界初の技術であり、医用生体・ウェアラブルデバイスやNFCカード、IoTデバイス等、ワイヤレス充電中に近距離通信を用いる幅広い装置に応用できる可能性がある」と語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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