2022年10月
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注射針よりも薄い内視鏡を発明―高解像度ホログラフィ画像の生成が可能に 韓国

韓国の基礎科学研究院(IBS)の分子分光学・動力学センター(Center for Molecular Spectroscopy and Dynamics)のチョ・ウォンシク(Choi Wonshik)副所長率いる研究チームが、超薄型で柔軟性が高く、高解像度のホログラフィ画像を生成できる内視鏡システムを発明した。この研究成果は学術誌 Nature Communications に8月2日付けで発表された。

光ファイバーの束を用いた内視鏡は、カメラセンサーを用いる方法に比べて侵襲性の低い内視鏡技術であるが、個々の光ファイバーの芯材(コア)の大きさによって分解能が制限されるため、高解像度の画像を得ることが難しい。また、プローブ先端で生じる強い戻り反射(back-reflection)ノイズのため、反射率の低い生体試料の場合は蛍光標識が必要となる。

同研究チームは、独自に開発したコヒーレント像最適化(coherent image optimization)アルゴリズムを用いることで、ファイバーに起因する位相差(phase retardation)を取り除き、顕微鏡レベルの解像度で画像を再構成することを可能にした。この内視鏡はファイバーの先端にレンズ等の器具を取り付ける必要がないため、プローブの直径が350 μm(ミクロン)と皮下注射用の針よりも薄い。空間分解能は850 nm(ナノメートル)と、光ファイバー束のコアの大きさを下回る。

チームはこの内視鏡を用いてマウスの絨毛(じゅうもう)構造を撮影し、このような反射率が低い生体試料においても、プローブの戻り反射ノイズを効果的に除去し、高コントラストの画像を生成できることを示した。

この新たな内視鏡が実用化されれば、患者に与える不快感を大幅に軽減できると期待される。また既存の技術では観察できない微小血管や肺の細い気道の内部を直接観察できるようになる可能性もある。

(提供:いずれもIBS)

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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