2022年10月
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ディーゼル燃料から水素製造―高活性改質触媒を開発 韓国

韓国科学技術院(KAIST)と韓国エネルギー技術研究院(KIER)の共同研究チームが、商用のディーゼル燃料から水素を製造するための高活性・高耐久性の改質触媒を開発したと発表した。8月16日付け。この研究の成果は学術誌Applied Catalysis B: Environmental のオンライン版に6月17日付けで掲載された。

燃料改質は触媒反応を用いて炭化水素から水素を抽出する技術である。ディーゼル燃料は高密度で水素を貯蔵でき輸送も容易であるため、ディーゼル燃料の改質を用いた水素供給システムを、大型トラックの補助電源や潜水艦の非大気依存推進(AIP)のための携帯型燃料電池に応用する方法が研究されている。

しかし、ディーゼルを構成する複数の高級炭化水素を効果的に分解するには、高活性の触媒が必要となる。また、炭素析出(caulking)や熱による劣化(sintering)への高い耐久性も不可欠である。

今回、チームは、熱処理手法の1つである溶出(elution)を用いて白金(Pt)とルテニウム(Ru)の合金ナノ粒子を形成した。この合金触媒は、単一金属から成る既存の触媒との性能比較において、既存の触媒よりも高い改質活性を示した。また長期耐久試験(800℃下で200時間)において、性能を劣化させることなく商用ディーゼル燃料から水素を製造することに成功し、商用化に耐える安定性を証明した。

研究を率いたKAISTのペ・ジュンミョン(Bae Joongmyeon)教授はこの技術について、「商用ディーゼルエンジンから安定して水素を製造できるという点で非常に意義がある。水素経済の早期における携帯型燃料電池の導入にこの技術が貢献できる」と期待を表明した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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