韓国の浦項工科大学校(POSTECH)は、同校の研究者らが、「飛び石」の役割を果たす白金ナノ粒子を挿入することで、半導体素子の電力消費量を半分に削減できる技術を開発したと発表した。9月16日付け。研究成果は学術誌 Nature Communications に掲載された。
(提供:POSTECH)
金属-絶縁体相転移(metal-insulator phase transition)を生じる酸化物材料は、消費電力の小さい半導体素子を作製するための重要材料として注目されている。この現象では、電圧が閾値に達した際に絶縁体から金属へと急速に相が変化する。
ソン・ジュンウ(Son Junwoo)教授とチョ・ミングク(Cho Minguk)博士が率いる研究チームは、白金ナノ粒子を用いて酸化物半導体素子のスイッチング効率を向上させることに成功した。この素子に電圧を加えると、電流が川の飛び石を渡るようにこれらの粒子を「飛び移り」、急速な相転移が生じた。
また、素子が前回の動作を記憶する記憶効果(memory effect)も100万倍以上向上した。これにより、素子は電圧の印加をやめた後、比較的低い電圧で再び動作することができた。この技術は、インテリジェントな半導体や神経模倣(neuromorphic)半導体素子等、大量のデータを処理する次世代電子素子の低消費電力化に重要な役割を果たすと期待されている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部