2022年11月
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細胞膜の挙動を模して、2次元シートから3次元小胞へと自発的に変化する材料開発 韓国

韓国の高麗大学校(Korea University)は、同大学と韓国科学技術研究院(KIST)が共同で運営する「KU-KIST Graduate School of Converging Science and Technology」のキム・ヨンジュ(Kim Yong-ju)教授が率いる研究チームが、細胞膜の挙動を模して、2次元のシート構造から3次元のナノ小胞へと構造を変化させる超分子ベースの新材料を開発したと発表した。10月5日付け。研究成果は9月13日付けで学術誌 Journal of the American Chemical Society に掲載された。

脂質分子の自己集合によって自然に発生する2次元超分子である細胞膜は、2次元のシート構造と3次元のナノ小胞構造との間で可逆的に構造を変化させることで、体内においてさまざまな役割を果たしている。しかし、この細胞膜の挙動が分子レベルで正確に解明されたことはなかった。

今回、研究チームは異なるπ電子密度を持つ2つの芳香族化合物間の供与体-受容体(donor-acceptor)相互作用を利用して極薄型の2次元シート材料を開発し、この材料の大きさが高度に均一なナノ小胞へと自発的に構造を変化させることを示した。

さらにチームは、さまざまな分光測定手法や分子シミュレーション、電子顕微鏡解析を用いて分子レベルの挙動を正確に解明した。今回開発された材料はさまざまな物質を包むことができるため、次世代の薬物送達システムやメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンのナノ担体(nano-carrier)として応用できる可能性がある。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部