韓国の浦項工科大学校(POSTECH)は、同大学の研究チームが、レンズの代わりに光ファイバーを用いた光音響顕微鏡により、近接場の光音響信号を画像化することに初めて成功したと発表した。
光音響顕微鏡は光が吸収される際の振動を利用し、造影剤を用いずに体内を観察することを可能にする。しかし、レンズを用いて光を一点に集める際の回折限界により、画像の解像度には限界があった。チームはこの問題を克服するため、直径数十ナノメートル(nm)のテーパーファイバー(tapered fiber)を用いて、光源と標本との距離を、回折現象が生じない近接場の範囲(数十nm)に保つ顕微鏡システムを開発した。
(提供:POSTECH)
光音響シミュレーションと2次元光音響操作実験の結果 、光ファイバーの先端でエバネッセント波が生じ、細胞イメージングに十分な1.0 ± 0.3マイクロメートル(μm)の解像度で標本の画像が取得された。
この研究成果は、光テーパーファイバーを用いた超解像(super-resolution)光音響顕微鏡の開発の基礎になると期待される。
2022年10月28日付発表。研究成果は学術誌 Laser and Photonics Reviews に掲載された。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部