韓国の高麗大学校(Korea University)の研究者らは、光を用いて免疫細胞マクロファージの挙動を制御する、世界で初めての遠隔免疫調節技術を開発した。
研究チームは、主に紫外光を発するアップコンバージョン(upconversion)ナノ粒子と静電引力(electrostatic attraction)を用いて、細胞接着性リガンドと結合するマイクロゲルを作製した。このマイクロゲルは従来の手法よりも低強度の赤外光や可視光を使用して、可逆的に膨張と収縮を制御できる。
このマイクロゲルは、光を用いてマクロファージの炎症性・修復性の分極化(polarization)を促すために利用でき、遠隔再生医療や免疫系、インプラントシステムに応用できる可能性がある。
論文の責任著者であるカン・ヒミン(Kang Heemin)教授は「先行研究は単一または少数の因子の静的な制御に関するものだったが、私たちの研究は、光反応に基づき、高い組織透過性を持つ赤外光を用いて細胞の挙動を動的かつ可逆的に制御する技術に関するものである」とし、「この研究は、個々の患者に合わせた治療を通じて社会の健康を改善することを目的としている」と語った。
2022年12月1日付け発表。研究成果は同年10月21日付けで学術誌 Advanced Materials に掲載され、表紙論文にも選ばれた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部