韓国の浦項工科大学校(POSTECH)と建国大学校(Konkuk University)の共同研究チームが、傷ついた角膜組織を修復できる組織接着剤(sticky sealant)を開発した。1月30日付け発表。研究成果は学術誌 Biomaterials に掲載された。
コンタクトの誤った使用等により角膜に潰瘍が生じると、角膜移植が必要になる場合がある。組織接着剤は移植や縫合に代わる角膜の治療法として期待されているが、接着形成(adhesion formation)を制御できないことや、組織を再建できないといった問題があった。
同チームはこうした問題を克服するため、傷ついた部位を保護し、細胞による修復(cell-assisted restoration)の助けとなる細胞外マトリックス「ゼラチン化角膜由来細胞外マトリックス(gelatinized cornea-derived extracellular matrix:GelCodE」を開発した。
(提供:POSTECH)
動物実験でGelCodEを角膜の欠損部に適用して可視光を3分間照射したところ、欠損部分が補われただけでなく、透明な角膜が再建された。従来の接着剤と異なり、隣接組織との融合も良好であった。
研究を率いたPOSTECHのチョ・ドンウ(Cho Dong-Woo)教授は「GelCodEは縫合も傷跡もなく、工程数や合併症もより少ない角膜潰瘍の治療を可能にする。これは再生医療における大きな進歩として評価される」と語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部