韓国科学技術院(KAIST)は3月9日、物理学科(Department of Physics)のチョ・ヨンフン(Cho Yong-Hoon)教授が、集束イオンビーム(focused ion beam)を用いて、0.5マイクロメートルサイズの画素で構成される超高解像度の発光ダイオード(LED)ディスプレイを作製する技術を開発したと発表した。研究成果は学術誌 Advanced Materials のオンライン版に掲載された。
超高解像度LEDディスプレイの画素形成(pixelation)には通常エッチング法が用いられるが、この方法では画素が小さくなるにつれて発光効率が低下し、電流の漏れを防ぐためのパターニングや後処理が必要となる。
今回開発された技術は、集束イオンビームを用いることにより、複雑な前処理や後処理を行うことなく、マイクロスケールの画素を形成することを可能にする。この手法には、集束イオンビームの強さを調整することにより、材料表面の構造を変形させずに発光画素の形を自由に設定できる利点がある。
チョ教授はこの新技術について「次世代の超高解像度ディスプレイやナノ光電子デバイスに利用できる基盤技術になる」と期待する。
図1) LEDデバイスへの集束イオンビーム照射による超高密度ピクセル技術の様子
図2) 集束イオンビーム照射によるマイクロ発光ダイオード(µLED)の超高密度画素化技術
図3) 集束イオンビームによって実現された、サイズの異なる長方形のピクセル (表面構造の写真と発光の写真)
(提供:いずれもKAIST)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部