韓国の漢陽大学校(Hanyang University)は、電子工学科(School of Electronics Engineering)のジョン・ジェギョン(Jeong Jae-kyeong)教授の研究チームが既存のディスプレイ用半導体デバイスに比べて製造コストと消費電力を大幅に低減できるディスプレイ用半導体デバイスを開発したと発表した。3月22日付け。この研究成果は、材料分野の学術誌Small Methodsに掲載された。
スマートフォンの最上位機種に使われているLTPO(低温多結晶酸化物)方式のOLED技術は、超高解像度ディスプレイの実装と消費電力の大幅な削減を可能にする。LTPOは、電子移動度は高いがリーク電流が大きいLTPS(低温多結晶シリコン)と、電子移動度は低いがリーク電流が小さいIGZO(アモルファス酸化物)を組み合わせた技術である。しかし、組み合わせの難易度が高いため、コストがかかるというデメリットがある。
今回の研究を通じ、ジョン教授の研究チームは、LTPSとIGZOの欠点を同時に克服できる「酸化物半導体チャネルトランジスタデバイス(oxide semiconductor channel transistor device)」を開発した。研究チームは、金属触媒を用いて、摂氏300度未満の低温で「立方晶スピネル結晶酸化物チャネル材料(cubic spinel crystal oxide channel materials)」を効果的に成長させた。
この方法で製造されたスピネル酸化物のトランジスタデバイス(spinel oxide transistor device)は、世界最高レベルの電界効果移動度(>80cm2/Vs)と優れたオン/オフ電流比を示した。同時に、ディスプレイ装置への応用に最も重要な電気的信頼性も高いことが確認された。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部