韓国の光州科学技術院(GIST)は5月17日、同院の研究チームがレドックス電池(redox batteries)の性能に革新をもたらす電解液を開発したと発表した。この研究成果は、ACS Energy Lettersに掲載された。
現在広く使われているリチウムイオン電池は、寿命が短く、電池の加熱による爆発の危険性があるため、様々な材料の電池が研究されている。その一つが、比較的安価で寿命が長く、爆発の危険性が低いレドックス電池である。レドックス電池は、電解液に含まれる活物質の酸化還元反応によって電気を化学エネルギーとして貯蔵し、放出する。水ベースの電解質を使うため、過熱による発火を根本的に防ぐことができる。
同院の材料科学工学部(School of Materials Science and Engineering)のユ・スンジュン(Yoo Seung Joon)教授と化学部(Department of Chemistry)ホン・ソグォン(Hong Sukwon)教授の共同研究チームは、酸化還元活性有機分子の性能を大幅に向上させる電解液を開発し、高容量・高出力のレドックス電池を実現することに成功した。
研究チームは、水分子と結合しにくい物質を水に溶けやすくする「ハイドロトロープ(hydrotrope)」という低分子物質に着目し、補助電解質として用いた。これにより、レドックス電池に用いられる有機分子の溶解度が従来の6倍に高まり、大容量のレドックス電池の開発が可能となった。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部