韓国の高麗大学校(Korea University)は5月30日、同大学の研究グループが高性能の無機ハロゲン化物ペロブスカイト太陽電池の作製技術を開発したと発表した。この研究の成果は5月1日付でAdvanced Energy Materialsに掲載された。
工学部土木環境・建築工学学科(School of Civil Environmental and Architectural Engineering at the College of Engineering)のジュンホン・ノ(Jun-hong Noh)教授率いるグループは、新しいアルカリ性添加剤(ギ酸ナトリウム)を導入することにより、セシウム(Cs)ベースの無機ペロブスカイト太陽電池の効率性と安定性を飛躍的に向上させる結晶化制御技術を開発した。研究グループは、無機ペロブスカイトと添加剤の間に化学的な相互作用を誘発して、無機ペロブスカイトの結晶化率を制御した。
さらに、この新しい添加剤のアルカリイオンと疑似ハロイド化物イオンが無機ペロブスカイトの欠陥に与える影響を調べ、アルカリイオンと疑似ハロイド化物イオンが無機ペロブスカイト太陽電池の効率性と安定性を高める上で重要な役割を果たすことを確認した。
この結晶化制御技術を応用して作製されたデバイスは、対照デバイスに比べ非放射再結合損失が小さく、太陽電池の全体的な性能が大幅に向上した。
また、研究グループは、吸湿性のあるドーパントを含まない正孔輸送層を使用して無機ペロブスカイト太陽電池の長期安定性を確保することにより、ペロブスカイト太陽電池の商業化を阻んでいる障害を克服し、世界最高の曲線因子を示す高性能な無機ペロブスカイト太陽電池を作製することに成功した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部