2023年07月
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北極圏の海氷、10年早まり2030年代末までに消滅へ 韓国で予測

韓国の浦項工科大学校(POSTECH)は6月13日、環境科学工学部(Division of Environmental Science and Engineering)のミン・スンギ(Min Seung-Ki)教授率いる研究チームが、温室効果ガスの排出量が現在のペースで増大すれば、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による予測より10年早い2030年代末には北極圏の海氷が全て消滅する可能性があることを明らかにしたと発表した。研究の成果は、Nature Communicationsに掲載された。

POSTECのミン教授らとカナダ環境気候変動庁(ECCC)およびドイツのハンブルグ大学の研究者らの共同研究チームは、1979年から2019年までの41年間のデータを分析し、複数のモデルシミュレーションの結果を3つの衛星観測データと比較した。その結果、減少の主な原因が「人為的な温室効果ガスの排出」に起因することを確認した。

さらに、これまでのIPCC予測で使用されてきた気候モデルは、海氷面積の減少傾向を概して過小評価していたことが明らかになった。この点を考慮して将来の予測シミュレーション値を調整したところ、全てのシナリオで海氷面積の減少速度が加速し、温室効果ガス排出量を削減したとしても、2050年代には北極海の海氷が完全に消滅する可能性があることが確認された。これにより、「カーボンニュートラル」の達成に関わらず、北極海の海氷が消滅する可能性があることが初めて明らかになった。

ミン教授は、「観測データに基づいてモデルのシミュレーションを調整した結果、北極海の海氷が減少する時期が、これまでのIPCCの予測よりもさらに早まることが確認された」と述べ、「北極海の海氷の消滅がもたらす様々な気候変動の影響を評価し、二酸化炭素(CO2)排出削減政策と並行して適応策を策定すること」が重要と指摘した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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