韓国科学技術院(KAIST)電気工学部(School of Electrical Engineering)のキム・ドンジュン(Kim Dongjun)教授率いる研究チームは、ソリッドステートドライブ(SSD)の読み込み・書き込み速度を高めて寿命を延ばす、初めてのモジュール型(modular)SSD半導体構造を開発した。6月15日付け発表。
データセンターやクラウドサービスの中核的なストレージとして使用される高性能なSSDの需要は近年高まっている。既存のSSDでは、内部の部品が密に結合された(tightly-coupled)構造が性能向上における限界となっていることを、キム教授のチームが明らかにした。
チームは今回、フラッシュメモリ用に特化したオンチップネットワーク(on-chip network)を構成することによりSSDの性能を最大限に高める「分離(de-coupled)」構造を提案した。さらにこの構造を用いて、フロントエンド(CPUに近い側の部品)とバックエンド(フラッシュメモリに近い側の部品)の互いに独立した設計・組立が可能な「モジュール型SSD」を開発した。このシステムは既存のシステムと比較して応答時間を21倍高速にし、SSD寿命を23%延ばせることを示した。
モジュール型(modular)SSD半導体構造
チームはこの研究成果を6月19日、フロリダ州オーランドで開催されたコンピューターアーキテクチャ分野の国際会議、第50回International Symposium on Computer Architectureで発表した。
SSDシステムによるハードウェアアクセラレーションの概念図
(出典:いずれもKAIST)
キム教授は「この研究が次世代の高性能SSD市場に貢献することを期待している」と語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部