2023年08月
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世界初、単一分子で測定可能な創薬用ナノポアセンサーを開発 韓国

科学技術連合大学院大学(UST)-韓国生命工学研究院(KRIBB)スクール(UST KRIBB School)のチ・スンウク(Chi Seung-Wook)教授率いるチームが、世界初となる単一分子で測定できる創薬用の高効率ナノポアセンサーを開発した。この研究成果は、Nature Communicationsに掲載された。

新薬の開発には10年以上という長い歳月と多額の費用が必要となる。こうした限界を克服し、新薬開発の成功率を高めるためには、新薬探索段階の効率性を革新する必要がある。

チ教授は、この問題のソリューションとして単一分子測定技術のナノポアセンサーに着目した。ナノポアセンサーは他の技術に比べ、超高感度で微量測定が可能であり、低コスト・短時間で簡単に測定できるという技術的利点を持っているため、次世代シーケンシング技術の商業化の例として脚光を浴びている。しかし従来のナノポアセンサーでは、様々な大きさや電荷のタンパク質を測定することは不可能であった。

チ教授のチームは、タンパク質工学技術を用いて、1ナノメートルサイズの穴の中にある漏斗状の構造により、1分子だけを捉えることが可能な新しいナノポア・タンパク質センサーを開発した。このセンサーは、非常に感度が高く、様々なサイズや表面電荷のあらゆるタンパク質を測定することができる。また、個々の単一分子の位置、構造、ダイナミクス、相互作用、反応を正確に測定することも可能となる。

チ教授は、この世界初のナノポアセンサーにより、「新薬開発に要する時間とコストが劇的に削減される」と期待を込めた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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