2023年09月
トップ  > 韓国科学技術ニュース> 2023年09月

次世代の全固体電解質を開発―セル寿命は長く、発火リスク少なく 韓国

韓国の漢陽大学校(Hanyang University)は、材料科学・化学工学科(Department of Materials Science and Chemical Engineering)のキム・ジョンホ(Kim Jong-ho)教授率いる研究チームが、室温で動作する次世代の全固体電池用の固体電解質を開発したと発表した。研究成果は、Advanced Materialsに掲載された。

現在、リチウム金属電池に使用されている液体電解質は、過電流による発火・爆発のリスクが非常に高く、電池実用化の大きな障害となっている。しかし、固体電解質を用いた全固体電池はセル寿命が長く、発火リスクもないため、電気自動車(EV)の安定性と走行距離を同時に確保することができる。

キム教授の研究チームは、双性イオン共有結合性有機構造体(Zwitterionic Covalent Organic Framework:Zwitt-COF)を用いた固体電解質を開発し、それを全固体リチウム金属電池に適用することに成功した。研究チームは、メソポーラス有機構造体を双性イオンで機能化することで、室内でのイオンの伝導性と安定性の飛躍的な向上を実現した。

開発した固体電解質を用いた全固体電池は、室温でも高いエネルギー密度を持ち、充放電を繰り返しても安定した性能を維持した。

キム教授は、「室温でも高いイオン伝導性と優れた安定性を実現する全固体電池を使用することで、EVの発火リスクを大幅に軽減し、1回の充電で長距離走行が可能になる」と語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

上へ戻る