2023年09月
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先駆的な手法で高性能のグラフェン-誘電体界面を作製 韓国

韓国の浦項工科大学校(POSTECH)は8月2日、機械工学科(Department of Mechanical Engineering)のアン・ジファン(An Jihwan)教授らの共同研究グループが、先駆的な手法を用いてグラフェン電極を処理することで、高性能のグラフェン-誘電体界面(graphene-dielectric interface)の作製に成功したと発表した。この研究成果は、学術誌Advanced Electronic Materialsの7月号に掲載され、表紙論文に選ばれた。

グラフェンは、非常に薄く柔軟で、高い強度を有する導電性物質として知られているが、その利用には多くの課題があった。例えば、電極ベースのトランジスタを作るには、極めて薄い誘電体膜を成膜する必要があるが、この工程はグラフェンの電気特性の低下を招き、実装時に欠陥を発生させる原因となっていた。

アン教授とシンガポールの南洋理工大学(NTU)のシン・ジョンウ(Shin Jeong Woo)教授、ソウル国立科学技術大学(SEOULTECH)のパク・ゴンウ(Park Geonwoo)教授らの共同研究グループは、2次元材料であるグラフェンの表面上での誘電体膜の成膜に、UVアシスト原子層堆積法(UV-assisted atomic layer deposition:UV-ALD)と呼ばれる新しいアプローチを適用した。2次元材料にUV-ALDを適用したのは、本研究が初めてとなる。

(出典:いずれもPOSTECH)

研究チームは、低エネルギー領域(10eV以下)の紫外線を採用することで、グラフェン固有の特性を損なうことなくグラフェン表面を効果的に活性化した。この活性化は、100℃未満の低温で、高密度・高純度の原子層誘電体膜(atomic layer dielectric film)を成膜できる可能性を示した。さらに、UV-ALDプロセスを用いてグラフェン電界効果トランジスタを作製したところ、グラフェンの優れた電気特性が維持され、電荷移動度が3倍向上するとともにディラック電圧が大幅に低下した。

アン教授は、「この開発が次世代の半導体デバイスやエネルギーデバイスへの道を開くことを期待している」と語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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