2023年09月
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ガソリン車から汚染物質を除去へ、画期的な技術開発 韓国

韓国の高麗大学校(Korea University)は7月31日、化学・生物工学科(Department of Chemical and Biological Engineering)のチェ・ジョンギュ(Choi Jungkyu)教授とカク・サンギュ(Kwak Sangkyu)教授の研究グループが、ガソリン車(ハイブリッド車含む)から汚染物質を除去する画期的な技術を開発したと発表した。研究成果は、Applied Catalysis B: Environmentalに掲載された。

ガソリン車には、排気ガスに含まれる有害物質を変換する三元触媒が搭載されている。三元触媒は、排ガス中に含まれるCO、NOx、HC(炭化水素)を同時に反応させて、N2、CO2、H2Oに効率よく変換することができる。しかし、長時間停止していたエンジンの始動後数分間(コールドスタートの間)は、触媒が活性化せず、有害物質の大半を変換することができない。炭化水素吸着剤はこの欠点を克服する有効な手段だが、低温で大量の炭化水素を吸着して高温で脱着させる能力と高い水熱安定性を有している必要がある。

チェ教授とカク教授の研究グループは、ゼオライトを基剤として採用し、ゼオライトに銅を含浸させることで、トルエンなどの高分子量炭化水素だけでなく、プロピレンなどの低分子量炭化水素も大量に吸着する炭化水素吸着剤を開発した。

研究グループはさらに、実験的・理論的方法論を通じて得た洞察を組み合わせることによって、炭化水素吸着剤の性能向上において銅種が果たす役割を明らかにした。今回開発された炭化水素吸着材は、高性能で熱安定性が高いため、三元触媒の弱点を補い、自動車の排ガス中の有害物質の排出を効果的に低減することが期待される。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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