2023年09月
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固体酸化物形燃料電池とプロトンセラミック燃料電池に使える電極材料を開発 韓国

韓国科学技術院(KAIST)の研究チームが、固体酸化物形燃料電池(SOFC)とプロトンセラミック燃料電池(PCFC)の両方に使える電極材料を開発した。8月9日付け発表。研究成果は、Energy & Environmental Scienceに掲載された。

セラミック燃料電池は、電解質が伝導するイオンの種類によってSOFCとPCFCに分類される。SOFCとPCFCはどちらも電気と水素の生成を切り替えられるため、セラミック燃料電池は合計4種類のデバイスに分類できる。しかし、これらのデバイスは、運転温度の低下とともに最も遅い反応速度が低下し、デバイスの効率が著しく悪化するという問題を抱えている。

図1. 新しいユニバーサル電極で動作する、高性能酸素イオン伝導性固体酸化物形燃料電池(SOFC)とプロトンセラミック燃料電池(PCFC)の概略図

この問題を解決するため、KAISTの材料科学・工学科(Department of Materials Science and Engineering)のチョン・ウチョル(Jung WooChul)教授と機械工学科(Department of Mechanical Engineering)のイ・カンテク(Lee Kang Taek)教授、そして弘益大学(Hongik University)のキム・ジュニョク(Kim Jun Hyuk)教授率いる共同研究チームは、ペロブスカイト型酸化物材料に、高原子価イオンTa5+をドープした。その結果、通常は非常に不安定な結晶構造を安定化させることに成功し、触媒活性が100倍向上することを確認した。

図2. (a) 新しいユニバーサル電極を備えたプロトンセラミック燃料電池 (PCFC) の電力変換と水素生成の性能チャート (b) および他の報告されているデバイスとの性能比較
(出典:いずれもKAIST)

研究チームが開発した電極材料は、上記の4種類のデバイスすべてに適用できた。さらに、その効率はこれまで報告されたどのデバイスよりも高く、従来の材料と比較して7倍以上に相当する700時間にわたり安定して稼働した。

イ教授は、「我々が開発した材料は、従来の材料とは異なり、4種類のデバイスすべてに適用できる柔軟性を持っている。したがって、燃料電池や水分解装置など、環境に優しいエネルギー技術の実用化への貢献を期待している」と述べた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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