2023年11月
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「グラフェン/MXene発熱体」を開発、低電圧・低電力での動作可能に 韓国

韓国の漢陽大学校(Hanyang University)は10月10日、有機ナノ工学科(Department of Organic and Nano Engineering)のハン・テヒ(Han Tae-hee)教授率いる研究チームが、フィルム状の高効率な発熱材料を開発したと発表した。この研究成果は、国際的な科学誌Smallのオンライン版に掲載された。

開発された発熱材料は、グラフェンとMXeneという2種類の2次元材料を組み合わせたものである。MXeneは、電気伝導性に優れ、発熱効率が高いため、低電圧の発熱用途に適しているが、化学的安定性が低いため、長期の使用時や高湿度環境での使用に制限がある。一方、グラフェンは熱を発生させるために、MXeneよりも高い電圧を必要とするが、化学的安定性が高いため熱的用途に適している。

研究チームは、ナノメートルスケールのグラフェンの皮膜構造をMXene材料に貼り付けることで、MXeneとグラフェン両方の長所を併せ持つサンドイッチ状の構造のハイブリッド発熱フィルムを作製した。このフィルムは、グラフェンとカーボンナノチューブをベースにした発熱フィルムに比べ80倍も低い電圧で動作し、MXeneベースの発熱フィルムに比べ発熱効率が2倍ほど高い。

ハン教授は、「低電圧・低電力での動作が可能で、扱いの難しい材料であるMXeneの用途を広げるこのグラフェン/MXene発熱体は、将来多くの分野での利用が期待される」と述べた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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