2023年11月
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電子受容体を必要としない有機フォトダイオード開発 韓国

韓国の浦項工科大学校(POSTECH)は10月10日、電子受容体を必要とせずに動作する光増倍型有機フォトダイオード(photomultiplication-type organic photodiode:PM-OPD)を開発したと発表した。この研究成果は、Advanced Materialsに掲載された。

蔚山科学技術大学校(UNIST)、漢陽大学校(Hanyang University)、高麗大学校(Korea University)との共同研究。有機フォトダイオードは、カラーフィルターを使わずにさまざまな色を認識する機能を有しており、生体認証技術やカメラ、光通信など多様な用途で利用されている。なかでもPM-OPDは、可視光を効率的にカバーして電気信号に増幅する光学デバイスとして優れている。

(出典:POSTECH)

POSTECHの化学工学科(Department of Chemical Engineering)のチョン・デソン(Chung Dae Sung)教授とキム・ジュヒ(Kim Juhee)博士らが率いる共同研究チームは、PM-OPDの電気化学的安定性を高めるために、電子受容体の代わりにパーフルオロアレーンをベースとするフォトクロスリンカーを利用した。

その結果、PM-OPDは、パーフルオロアレーンと電子供与体の間に生じる「界面バンド曲がり(interfacial band bending)」効果を利用して、励起子を個々の電子と正孔に素早く分解した。さらに、これらの分離された電子は、電子トラップ現象によってデバイス内でさらなる正孔の発生を促進し、結果として電流の流れを向上させた。従来の設計において不可欠のコンポーネントであった電子受容体を使わずに光増幅現象の誘導を実証したのは、今回の研究が初めて。

この研究成果に基づき、研究チームは、優れた感度、安定性、フルカラー能力を特徴とする有機イメージセンサーを作製することに成功した。

デソン教授は、「この画期的成果が今後の有機イメージセンサーの実用化に大いに貢献することを期待している」と述べた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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