2023年11月
トップ  > 韓国科学技術ニュース> 2023年11月

原位自己組織化を利用した次世代がん治療アプローチの総説論文 韓国

韓国の高麗大学校(Korea University)は、 「原位自己組織化」(in situ self-assembly)を通じて、がん治療とがん細胞のイメージング効率を最大化するための様々なアプローチを総説論文として取りまとめた。10月6日付発表。高麗大学校とシンガポールの南洋理工大学(NTU)の国際共同チームによる研究。この総説論文は、Nature Reviews Materialsに掲載された。

従来の方法によって調製された機能的ナノ医薬品は、治療効果や機能に限界がある。腫瘍への浸透や血液循環が十分でないため、がん細胞アポトーシスの誘導やがん細胞の標的診断などに効果がないことが分かっている。

これに対し、原位自己組織化をベースにしたがん治療は、モノマーの血液循環、低い薬物耐性、深部の腫瘍や細胞器官を標的にする能力など、さまざまなメリットを提供すると研究チームは説明する。

総説論文は、がん治療とイメージングのための最新の原位自己組織化アプローチをすべて取り上げて論じており、細胞内外に形成された自己集合体は、機械的ストレスを誘発することにより、がん細胞のアポトーシスを効果的に生じさせることができると述べる。同論文はまた、がん細胞標的物質とモノマーとの結合による選択的がん治療と、腫瘍深部への浸透効果の向上を強調した。

研究を主導した化学科(Department of Chemistry)のキム・ジョンスン(Kim Jong-seung)教授と材料科学・工学科(Department of Materials Science and Engineering)カン・ヒーミン(Kang Hee-min)教授は、「臨床的観点から見ると、原位自己組織化によるナノ医薬品は、既存のがん治療に代わる可能性のある次世代技術である。我々の総説論文が、効率性が高く、副作用のないがん治療と診断の基盤の確立に役立つことを願っている」と述べた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

上へ戻る