韓国のソウル大学(SNU)の研究チームが、オーストラリア国立大学(ANU)との共同研究を通じ、超小型で高性能のナノレーザーの開発に成功した。この研究は、韓国科学技術情報通信部(MSIT)の理工学基礎研究プロジェクトの下で行われた。研究成果はNature Photonicsに掲載された。
近年、光の特性を制御する方法が光学分野で活発に研究されている。特に、光の角運動量の操作は、大容量光通信をはじめさまざまな応用が考えられるため、光を増幅するレーザーの開発に重点が置かれている。しかし、光に特定の角運動量を与えるフィルターと組み合わせたレーザーデバイスは、サイズが大きく性能が劣る一方、超小型のレーザーデバイスは、優れた性能を示すものの角運動量を保つ能力に欠けるという問題があった。
SNUのパク・ホンギュ(Park Hong-Gyu)教授とANUのキリ・キブシャール教授(Yuri Kivshar)教授率いる共同研究チームは、レーザーデバイスに必要な光絶縁体を設計する独創的な方法を考案し、この問題を解決するカギを発見した。
研究チームは、人工的に作られた結晶内の原子部位に空気孔を配置することによって「光ディスクリネーション・キャビティ(photonic disclination cavity)」と呼ばれる新しいレーザー構造を開発し、レーザーデバイスから発せられる光が時計回りあるいは反時計回りに回転する光渦ナノレーザー(vortex nanolaser)の実装に成功した。
開発された光絶縁体は、従来の研究で報告されていたものに比べ3.75倍小さい一方、レーザーデバイスの効率性は24倍も増えた。
開発されたナノレーザーは、大容量の光通信や量子情報通信などの最先端光学に応用できる可能性がある。パク教授は、「この新しいナノレーザーは、光の偏光特性やその他の特性を正確に制御することを可能にするため、高密度光/量子集積回路のさらなる研究にとって非常に価値がある」と述べた。
韓国科学技術情報通信部(MSIT)が2023年11月28日に発表した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部