韓国科学技術院(KAIST)は1月16日、同院の研究チームが、単純な蒸発工程で金ナノロッド(GNR)粒子を4分円形に均一にパターン化できる独自の技術を開発し、この技術を利用して、太陽光だけで防氷・除氷効果を発揮できる表面を開発したと発表した。この研究成果は、Nature Communicationsのオンライン版に掲載された。
近年、多くの科学者がさまざまなコーティング技術を使って基板表面を制御しようとしており、機能性ナノ材料のパターニングを用いる技術が特に注目されている。特に、金ナノロッド(GNR)は、その生体適合性や化学的安定性、比較的簡単な合成、そして表面プラズモン共鳴という安定したユニークな特性から、有望な候補ナノ材料と考えられている。しかし、GNRの性能を最大限に引き出すためには、成膜時の高い均一性と高水準のロッド整列が必要であり、この2つの基準を達成することが困難な課題となっていた。
この問題を解決するため、KAISTの機械工学科(Department of Mechanical Engineering)のキム・ヒョンス(Kim Hyoungsoo)教授と化学科(Department of Chemistry)のユン・ドンギ(Yoon Dong Ki)教授の率いる研究チームは、自然界から容易に抽出できる次世代の機能性ナノ材料であるセルロースナノクリスタル(CNC)を利用した。
CNCでできた4分円形の型板の上にGNRを共集合させることで、膜を均一に乾燥させることが可能となり、円形に均一に整列したGNRフィルムを得ることに成功した。このGNR膜は、既存のコーヒーリング状のフィルムと比較して、プラズモニック光熱特性が向上し、可視波長域の光を照射するだけで、防氷・除氷機能を発揮できることが示された。
(出典:いずれもKAIST)
キム教授は、「この技術は、プラスチックだけでなく柔軟な表面にも適用可能であり、自動車、航空機、住宅や商業用建物の窓など、冬季の凍結が深刻な問題となる場所に応用することで、大幅な省エネが可能になる」と述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部