韓国の高麗大学校(Korea University)統合エネルギー工学科(Department of Integrative Energy Engineering)ユン・ヨンス(Yun Young-soo)教授率いる研究チームが、リチウム金属二次電池のエネルギー密度を高める厚型正極技術を開発した。1月30日付発表。この研究成果は、Advanced Fiber Materialsのオンライン版に掲載された。
リチウム二次電池の電極密度の向上を目指す厚型正極技術は、リチウム二次電池に使用される従来の正極材料を変更することなく、エネルギーの制約を克服する技術である。しかし、電極の製造に用いられる典型的なスラリー法は、厚型電極を製造する際に割れや剥がれといった課題をもたらす。さらに、電荷移動抵抗の増加や局所的な電流過負荷を引き起こし、結果的にレート性能やサイクル安定性の低下といった深刻な技術的制約が生じる。
ユン教授の研究チームは、導電性ナノ繊維ネットワーク(conductive nanofibrillar network:CNN)と非晶質ポリヒドロキシアルカノエート(amorphous polyhydroxyalkanoate:aPHA)バインダーをベースとするデュアルネットワーク組み合わせ戦略を用いて、高性能な厚膜電極を製造した。
CNNとaPHAのデュアルネットワークは、大量生産可能なスラリー法による厚型正極(厚さ250ミクロン以上、正極活物質90重量%以上)の製造が容易であることを示すと同時に、高いレート性能と優れたサイクル安定性を示した。さらに、厚型正極と薄型リチウム金属電池の組み合わせは、最適なエネルギー性能を提示した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部