韓国の浦項工科大学校(POSTECH)は3月6日、同校の研究チームが、残光発光粒子(afterglow luminescent particles:ALP)を用いて、水中で文字を手書き入力できる光学ディスプレイを開発したことを発表した。研究成果は学術誌Advanced Functional Materialsに掲載されている。
ALPが示す応力発光(mechanoluminescence:ML)と応力消光(mechanical quenching:MQ)の特性はさまざまな技術に応用できるとして注目を集めているが、正確な機構は明らかにされていなかった。
(出典:POSTECH)
今回、材料科学・工学科(Department of Materials Science and Engineering)のハーン・セイクワン(Hahn Sei Kwang)教授、博士候補生キム・ソンジョン(Kim Seong-Jong)氏ら研究チームは、捕捉電子(trapped electrons)と再荷電(recharging)がMLとMQに及ぼす影響を詳しく調べることにより、これらの現象を支配する機構を明らかにした。さらに両方の現象を同時に生じさせることができるALPと薄型ポリマー材料を組み合わせ、皮膚に貼り付けられるパッチ型の光学ディスプレイを作製した。
このパッチは、指で軽くなぞるだけで文字などを入力でき、紫外線を照射することで、消しゴムで消すように白紙の状態に戻すことができる。また、耐湿性に優れ、長い時間水中につけても機能を維持できる。
研究を率いたハーン教授は「水中などの情報伝達手段が限られた状況でのコミュニケーションツールとなりうる。ウェアラブル光バイオセンサーや光線療法システムにも利用できる可能性がある」と、この技術の活用の可能性を語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部