韓国科学技術院(KAIST)は4月4日、電気工学部(School of Electrical Engineering)のチェ・シンヒョン(Choi Shinhyun)教授の研究チームが、消費電力が非常に少ない次世代相変化メモリデバイスを開発したと発表した。この研究成果は、Natureに掲載された。
相変化メモリは、DRAMの特長である高速性とNAND型フラッシュメモリの特長である不揮発性を併せ持ち、人間の脳を模したニューロモーフィックコンピューティング技術として活発に研究されている。しかし、従来の相変化メモリデバイスは、動作にかなりの電力を必要とするため、実用的な大容量メモリ製品の製造やニューロモーフィックコンピューティングシステムの実現は難しい。また、製造コストが高いことも課題となっている。
これらの問題を解決するため、チェ教授の研究チームは、ナノメートルスケールの非常に小さな相変化可能なフィラメントを電気的に形成する方法を考案した。この方法により、高価なリソグラフィ装置で作成した従来の相変化メモリに比べて消費電力を15分の1に抑えた相変化メモリデバイスを、非常に安い加工コストで実現することに成功した。
超低消費電力次世代相変化メモリデバイスのイメージと、消費電力を従来型相変化メモリデバイスと比較した図
(出典:KAIST)
チェ教授は、「我々の研究は、材料の選択肢の幅を広げるものであり、高密度の3次元積層メモリやニューロモーフィックコンピューティングシステムなどのさまざまな応用を可能にすることを期待している」と述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部