韓国科学技術院(KAIST)は4月12日、同大学の生物プロセス工学研究センター(BioProcess Engineering Research Center)のチョ・キョンロンク(Choi Kyeong Rok)研究教授(Research Professor)らが、持続可能な原料を用いた微生物食品(microbial food)の生産に関する研究の方向をまとめた論文を、学術誌Nature Microbiologyに発表したと伝えた。
持続可能な原料を利用したさまざまな微生物バイオマス生産戦略を描いた概略図
急激な人口増加と気候変動で世界的に食料危機が増大しており、食品生産による二酸化炭素排出が気候変動を悪化させている。持続可能で栄養価の高い微生物食品が解決策として注目されている。
微生物食品とは、さまざまな微生物を用いて生産される食品や食品原料のことである。 肉よりも単位あたりのタンパク質含有量が多く、畜産物や水産物、農作物と比較して生産に伴う単位質量あたりの二酸化炭素排出量や必要な水・スペースが少ないことから、環境に優しく、持続可能で栄養価の高い食料資源となる可能性がある。
今回の研究では、さまざまな非可食(non-edible)原料と、これらを利用してより持続可能な方法で微生物食品を生産するための戦略を包括的に取り上げた。さらに、関連する原料を用いて実際に生産されているさまざまな微生物食品とその特徴を分析し、持続可能な微生物食品の生産と一般化に向けた展望を提示している。
論文の最終著者であるイ・サンユプ(Lee Sang Yup)特別教授は「持続可能な社会の形成に向け、より多様な微生物食品を開発・供給できるよう、産業界と学術界、公共部門と民間部門がより密に協力すべきときが来ている」と語った。
この研究は韓国科学技術情報通信部(MSIT)などから支援を受ける次世代バイオリファイナリープロジェクトのための微生物セルファクトリー技術の開発の下で実施された。
動物、植物、微生物バイオマスの組成と環境フットプリント
(出典:いずれもKAIST)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部