韓国の浦項工科大学校(POSTECH)は7月1日、大邱大学校(DU)との共同研究チームがディープラーニング技術を利用した新たなグルコース測定法を開発したと発表した。この研究成果は、Laser & Photonics Reviewsに掲載された。
(出典:POSTECH)
グルコースを測定するセンサーに使われるスプリットリング共振器(Sprit-Ring Resonator:SRR)は、温度、湿度、標本の位置などの影響を受けやすく、測定値に一貫性がなく信頼性が低いことが課題となっている。今回の研究において機械工学科・化学工学科・電気工学科のロ・ジュンスク(Rho Junsuk)教授らの研究チームは、標本の位置の変化によって生じる電気信号変動の問題を解決することを目指した。
まず、フォトリソグラフィ工程を用いて0.5~18ギガヘルツの周波数帯域の電気信号を増幅するようにセンサーを最適化した後、ディープラーニング技術を利用してさまざまな場所で測定された電気信号からグルコースセンサーが学習できるようにした。
これをもとに1次元畳み込みニューラルネットワーク(1D CNN)を開発し、実験を行ったところ、平均絶対誤差(MAE)0.695%、平均2乗誤差(MSE)0.876%を達成し、このモデルが標本の位置のばらつきによる誤差を効果的に補正することが実証された。さらにパイナップルなどの実際のフルーツジュースの糖度を予測することを目的とした実験でも、高い精度を示した。
ロ教授は、「標本位置の変化に敏感な電気信号を制御することで、グルコース測定装置の一貫性と信頼性を高めることに成功した。また、すでに半導体産業で広く採用されているフォトリソグラフィ工程を用いて商業化・大量生産が可能であることも注目に値する」と述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部