2024年08月
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微生物を使った液卵代替品を開発 韓国KAIST

韓国科学技術院(KAIST)は7月5日、同院の研究チームが微生物を使った環境に優しい液卵代替品を開発したと発表した。この研究成果は、Natureが発行するnpj Science of Foodのオンライン版に掲載された。

従来の鶏卵生産は、環境への負荷が大きい上、最近では大幅な価格上昇に見舞われている。こうした問題を受け、非動物由来の卵代替品に対する関心が高まっている。しかし、ゲル化や起泡性、乳化といった液卵の機能的特性を完全に再現し、かつ卵の栄養素を備えた代替品はまだ開発されていない。

この課題に対処するため、KAISTの生物工程研究センター(Biological Process Research Center)のチェ・キョンロク(Choi Kyeong Rok)研究教授と化学・生体分子工学科(Department of Chemical and Biomolecular Engineering)のイ・サンヨプ(Lee Sang Yup)特別教授の研究チームは、食肉に匹敵する単位乾燥質量当たりのタンパク質含有量を持つ微生物バイオマスを利用して液卵代替品を開発することを目指した。微生物バイオマスは、生産過程において水や土地などの資源をそれほど必要とせず、高品質の栄養素を含んでいるため、持続可能な食料資源となる可能性がある。

しかし、微生物培養で得た半固体の微生物バイオマスは、液卵とは異なり、加熱すると液状になってしまうことが観察された。そこで、研究チームは微生物の細胞壁や細胞膜を分解して、微生物溶解液を開発した。この微生物溶解液のタンパク質は加熱すると凝固し、液卵と同様のゲルを形成することが確認された。形成されたゲルは、ゆで卵に類似する微細構造や物理的性質を備えており、食用酵素や植物由来の素材を加えて性質を調整することで、さまざまな食感を作り出すことが可能になった。

さらに研究チームは、この微生物溶解液がメレンゲなど、パン・菓子製造に広く使われる泡を形成できることを実証し、液卵の代替品としての可能性を示した。

微生物ペレットと微生物溶解物の熱処理結果の比較
(出典:KAIST)

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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