韓国の光州科学技術院(GIST)は7月31日、融合技術院(School of Integrated Technology)のキム・キョンジュン(Kim Kyung-Joong)教授率いる研究チームが、高解像度のカーペット型触覚センサーから得た足圧データを解析することでユーザーの動きを認識する新しい仮想現実(VR)技術を開発したと発表した。この研究成果は、2024 IEEE Conference Virtual Reality and 3D User Interfaces (VR)に掲載された。
仮想現実における最大の問題は現実空間における物理的な制約であり、この制約を克服するために、その場での動きを認識して仮想環境での動きに変換する研究が行われている。しかし、既存の手法ではセンサーを装着する必要があり、ユーザーの動きや快適性を損なう原因となっていた。
キム教授の研究チームは、ウェアラブルセンサーに頼る従来の方法から脱却し、カーペット型触覚センサーを使ってユーザーの動きをリアルタイムで正確に認識する新たな技術の開発を目指した。研究チームは、センサーから得られる足圧データを処理するために、人工知能(AI)ビジョン分野の最新技術である「Vision Transformer(ViT)」をベースに、類似の動作を正確に区別できる新しいAIモデル「Self-Teaching Vision Transformer(STViT)」を開発した。この技術は、高度なモーション認識機能によってユーザーの手足の動きを正確に捉えることで、仮想世界でのインタラクションを自然なものにし、ユーザーが自然にVR環境に没入できるようにサポートする。
今回の研究成果は、ユーザーインターフェースやインタラクション手法の面でVR技術のレベルを引き上げる重要な一歩であり、VRを活用した教育、医療、エンターテインメントなどさまざまな分野での活用が期待される。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部