2024年09月
トップ  > 韓国科学技術ニュース> 2024年09月

低温プロセスでフレキシブル型ペロブスカイト太陽電池を開発 韓国GIST

韓国の光州科学技術院(GIST)は8月20日、太陽・持続可能エネルギー研究所(Research Institute for Solar and Sustainable Energies)のカン・ホンギュ(Kang Hongkyu)主任研究員らの研究チームが、低温プロセスでも光安定性と効率性の高いフレキシブル型ペロブスカイト太陽電池を製造する技術を開発したと発表した。この研究成果は、Smallに掲載された。

ペロブスカイトの電子輸送層として使用される酸化スズ(SnO2)は、一般に150℃以上の高温で熱処理されるが、これはフレキシブルな透明電極として使用されるポリエチレンテレフタレート(PET、合成樹脂)に熱収縮などの悪影響を及ぼす。

この高温熱処理の問題を解決するため、研究チームは、ナフタレンジイミド材料を導入し、低温プロセスでも均一な電子輸送層薄膜を形成した。この電子輸送層を用いたフレキシブル型ペロブスカイト太陽電池の変換効率は17.48%と、これまでに報告されている低温プロセスによるITO(インジウム・スズ酸化物)フリーのペロブスカイト太陽電池の中で最高の効率性を達成した。

また、従来のSnO2を使用した場合は、出力が360分で45%低下するのに対し、改良したSnO2を使用した場合はわずか5%の低下にとどまり、光安定性の大幅な向上が確認された。

このGISTが独自開発した技術は民間企業のワンス(Once)に技術移転された後、量産化のためにMSWAYに独占的ライセンスが供与された。

カン主任研究員は、「今回の研究の意義は、高温プロセスの問題を解決しただけでなく、低温プロセスによってエネルギー変換効率の高いITOフリーのフレキシブル型ペロブスカイト太陽電池を開発した点にある。今後、ペロブスカイト型フレキシブル太陽電池の実用化が加速することが期待される」と述べた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

上へ戻る