韓国の基礎科学研究院(IBS)は11月15日、同院の研究者らの国際的な研究チームが、約177万年前のホミニンの化石歯の分析から、初期のホミニンは類人猿のような早期成熟と、ヒトのような遅い発達の両方の特徴を持っていた可能性があることを明らかにしたと発表した。この研究成果は、科学誌Natureに掲載された。
ヒトは大型類人猿より長い幼児期を持つことが特徴であり、その間に両親や祖父母、その他の大人が協力して子どもの身体的・認知的発達を支える。この特異な発達の仕方は、ヒトの大きな脳と関係しており、子どもの脳が大人の大きさになるまで長い時間がかかることによるものと考えられてきた。
しかし、この仮説を見直す必要があることが、IBS気候物理学センター(IBS Center for Climate Physics)のクリストフ・ゾリコファー(Christoph Zollikofer)氏と欧州シンクロトロン放射光施設(ESRF)の主任研究員であるポール・タフォロー(Paul Tafforeau)氏らの共同研究チームによる研究から明らかになった。
(出典:IBS)
研究チームは、新しいシンクロトロン手法・技術を活用して、ジョージアのドマニシ遺跡から出土した、約177万年前の化石化した初期ホモ属の歯の発達を非侵襲的に調べた。化石のすべての歯の仮想的な顕微鏡標本を作成し、誕生から死までの歯列全体の歯の発達をつなぎ合わせたところ、驚くほど人間らしい歯の成熟の仕方を示していることが明らかになった。親知らずは大型類人猿の発達と似ていたものの、乳歯が類人猿よりも長い期間使われており、大人への依存期間が類人猿より長かったことを示唆していたという。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部