2025年01月
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エネルギー貯蔵と負荷支持の両方が可能な構造体電池を開発 韓国KAIST

韓国科学技術院(KAIST)は、同院の研究チームが、高エネルギー密度と高負荷支持能力の両方を併せ持つ構造体電池(structural battery)の基礎技術の開発に成功したと発表した。この研究成果は、学術誌ACS Applied Materials & Interfacesに裏表紙論文として掲載された。

機械工学科のキム・ソンス(Kim Seong Su)教授(左)と研究チーム

初期の構造体電池は、市販のリチウムイオン電池を層状の複合材料に埋め込んでいたが、機械的特性と電気化学的特性の結合性が低く、材料加工、組み立て、設計を最適化しにくいという課題があり、商業化が難しかった。

これらの課題を克服するため、機械工学科(Department of Mechanical Engineering)のキム・ソンス(Kim Seong Su)教授率いるチームは、「エネルギーを貯蔵する複合材料」という概念に着目し、従来の複合材料設計において重要な界面特性と硬化特性に焦点を当てた。強力な機械的特性で知られるエポキシ樹脂にイオン液体および炭酸塩電解質ベースの固体高分子電解質を組み合わせた材料の硬化メカニズムを分析し、温度と圧力を制御することで、硬化プロセスを最適化することに成功した。

(出典:いずれもKAIST)

開発された構造体電池は、真空圧縮成形によって製造され、電極と集電体の両方の役割を果たす炭素繊維の体積分率が、従来の炭素繊維ベースの電池に比べて160%以上増加した。これにより、電極と電解質の接触面積が大幅に増加し、電気化学的性能の高い高密度の構造体電池が実現した。さらに研究チームは、硬化過程で構造体電池内の気泡を効果的に制御し、電池の機械的特性も同時に向上させた。

キム教授は、「開発した構造体電池は、自動車やドローン、飛行機、ロボットの内部構成品の役割を果たすことができ、1回の充電で動作時間を大幅に延ばすことができる」と述べた。

(2024年11月27日付発表)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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