2025年01月
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熱循環を利用して廃プラスチックを効率的に処理するプロセスを開発 韓国KIER

韓国エネルギー技術研究院(KIER)は、同院の研究チームが、石炭火力発電所のボイラーで一般に使用されている循環流動層(circulating fluidized bed:CFB)技術を応用して大規模な廃プラスチックのリサイクルと熱分解油の生産を可能にするプロセスを開発したと発表した。この研究成果は、化学工学分野の学術誌Chemical Engineering Journalに掲載された。

現在、韓国では廃プラスチックのリサイクルのための熱分解にキルン法が用いられている。このプロセスでは、廃プラスチックを円筒形のチャンバーに入れて外部から熱を加え、発生する蒸気を凝縮して熱分解油を製造する。設計は比較的単純だが、チャンバーのサイズが大きくなると円筒の中心部への熱伝達が難しくなるために大型化しにくいことと、残留廃棄物処理のためにシステムの停止が必要で連続運転ができないことが課題となっている。

従来の方法の限界を克服するため、CCS研究部(CCS Research Department)のファン・ビョンウク(Hwang Byungwook)博士率いる研究チームは、高温の砂などの熱媒体を循環させて反応中の連続的な熱移動を可能にするCFBプロセスを用いて廃プラスチックをリサイクルする技術を開発した。

開発したプロセスでは、熱循環を利用して原料投入から熱供給、残留廃棄物処理までのサイクルがシームレスに維持されるため、連続運転することができる。また、触媒が熱分解リアクター内を自由に移動することで、熱を反応器の中心部から端へと効率的に移動させることができ、システムの大型化も可能になる。

このプロセスを使った実験では、1日当たり最大100キログラムの廃プラスチックを処理することができた。また、プラスチックだけでなく固体回収物燃料(都市ゴミを原料とする燃料の一種:SRF)も熱分解できることが確認された。SRFを処理した場合の収率は、従来の方法の1.2倍に相当する約37%となった。さらに、生成された熱分解油の品質も大幅に改善され、熱分解油に含まれる軽質留分の含有率は45%と、従来のプロセスの約2倍に上った。

(2024年12月5日付発表)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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