韓国の漢陽大学校(Hanyang University)は1月9日、同大学と浦項工科大学校(POSTECH)の共同研究チームが、暗励起子(dark exciton)の実用化につながる画期的な技術を開発したことを発表した。この研究の成果は学術誌Advanced Scienceに掲載された。
発光特性を利用して光電子デバイスなどで活用されている明励起子(bright exciton)と異なり、通常は発光しない暗励起子はこれまで十分に活用されてこなかった。暗励起子を光らせる(brighten)には発光効率の低さや室温での不安定さといった課題があり、既存の技術では低温または強力な磁場が必要であった。
今回、漢陽大学校物理学科(Department of Physics)のジョン・ムンソク(Jeong Mun-seok)教授が率いる研究チームは、二次元半導体の局所ひずみ(local strain)を用いて、暗励起子を室温で、磁場のような外部刺激を用いずに、大面積にわたって光らせる方法を世界で初めて提示した。この方法はシンプルで経済的かつ迅速であるため、商用化にも適すると考えられている。
この技術は光電子デバイス、スピントロニクス、太陽光発電などのさまざまな分野で利用できる可能性がある。また、今回、室温での大規模な暗励起子の観察に成功したことは、量子情報保存技術の進歩や、光電子デバイスの効率性向上につながると期待されている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部