2025年02月
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昆虫の複眼に着想を得た高速・高感度のカメラを開発 韓国KAIST

韓国科学技術院(KAIST)は1月16日、生物・脳工学科(Department of Bio and Brain Engineering)のチョン・ギフン(Jeong Ki-Hun)教授とコンピューティング学部(School of Computing)のキム・ミンH(Kim Min H.)教授が率いる研究チームが、昆虫の目の視覚構造を模倣することで、高感度の超高速撮像が可能なカメラを開発したと発表した。この研究成果は、学術誌Science Advancesに掲載された。

チョン・ギフン(Jeong Ki-Hun)教授(左から2人目)、キム・ミンH(Kim Min H.)教授(右上・囲み内)と研究チームメンバーら

高速かつ低照度条件下での質の高い撮像は、多くの応用分野で重要な課題となっている。従来の高速カメラは、速い動きの撮影には優れているが、フレームレートが高くなるにつれて感度が低下する。

この課題に対処するにあたり、研究チームは昆虫の複眼に着目した。昆虫の複眼は、高速で移動する物体を同時に検出することができ、低照度条件下では、経時的に信号を取り込んで動きを判断することで感度を高めることができる。研究チームは、複眼構造のカメラを開発し、従来の高速カメラで検出できる照度よりも40倍低い照度で物体を撮影できることを実証した。また、「チャンネル分割」手法によりカメラの速度を大幅に向上させるとともに、「圧縮画像復元」アルゴリズムによって、フレーム統合によるぼやけを除去し、鮮明な画像を再構成した。

完成したカメラは、厚さ1ミリ以下と非常にコンパクトであり、低照度条件下でも毎秒9120フレームを撮影することができる。

画像センサーにパッケージされた高速・高感度の生体模倣カメラ。厚さ1mm以下で、指に乗るほど小さく作られている
(出典:いずれもKAIST)

研究チームは今後、この技術を発展させ、バイオメディカルイメージングやモバイル機器など、さまざまなカメラ技術への応用を目指す予定である。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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